福岡でのコミュニティビジネス成功例を増やすために!

コミュニティビジネス販路拡大支援センター(コミット・commit)


「最期まで自分の力で生ききる」ためのお手伝い
Twitter「つぶやく」ボタン

今では全国に広がった宅老所・グループホームの 元祖として知られる「宅老所よりあい」。
21年前に福岡市中央区のお寺の敷地内で始まった取り組み、 そして現在の活動を、代表の下村恵美子さんにお聞きしました。


社会福祉法人 福岡ひかり福祉会
宅老所よりあい 代表 下村 恵美子 氏
       ×
株式会社フラウ 代表取締役社長 濱砂 圭子 氏


一人の高齢者から始まった「よりあい」の取組み

濱砂「よりあい」は設立 21年ですね。設立の経緯を聞かせてください。
下村 校区内のマンションに 92 歳のおばあちゃん・ノブさんが住んでいて、物忘れや火事騒ぎでパトカーや消防車がしょっちゅう来る。 マンションの住民も困っていて、そこにボランティアでヘルパーに入ったのがきっかけです。家 にいるだけでは気詰まりなので外へ出る場 をつくりたいと、お寺の協力を得てお茶室 を借り「よりあい」がスタートしました。その1年後に現在の借家に移りました。
濱砂 近所の方のためにそこまでなさったんですね。すごい! ノブさんが外出できる場所をつくる。デイサービスの始まりですね。
下村 当時は痴呆やボケが進んで家族の介 護が難しくなれば、精神科の病院に入るし かなかった。在宅介護で頑張っている家族に 口コミで広がって、3カ月後には利用者が 20 人ぐらいになりました。この場所も少しず つ改築して、資金はバザーでつくったり、少ない年金から月々5000円ずつ寄付してく れた地域のおばあちゃんもいましたね。
濱砂 日本では草分け的存在、福岡の誇りだと思います。
下村 当時、「託老所」は既に出雲や群馬 にありました。うちの場合も「託する」の 「託」にしようと思ったら、ノブさんが「託すは失礼だ、子どもじゃないんだから」とおっ しゃったんです。そこで家の生活の延長線上 という意味で、「自宅」の「宅」を使おうと。 この字の「宅老所」は、うちが初めてです。

濱砂 実はうちにも高齢の母がいて、昼間 は一人で家にいるので心配なんです。高齢者のケアで大事なことは?
下村 習慣や普通の暮らしの継続が大切です。環境を急激に変えないこと。環境を変えると混乱してしまいます。 自宅など今までの習慣がちゃんと保てる場所が一番いいんです。入院やショ ートステイで劇的に環境が変わると、 いろんなことが自分でコントロールできなくなってしまう。できるだけ普通の暮らしをすることが大事です。
濱砂 でも環境を変えざるを得ないときがありますよね。
下村 その時は十分に時間をかけて折り合いをつけてもらう。こちらの都合ではなく、お年寄りの都合やお年寄りが必要とする時間をどう保障 出来るか。必要な時だけ手を出して、それ以外はできるだけ見守るケアを していくと結構元気になられます。 それからユーモアも大事ですね。高齢者問題は当事者である家族には笑えないことが多い。 でも他人が関わると深刻さが軽減されて〝笑い〞が生まれ、何とか乗り切れる。 「よりあい」では1日をできるだけ笑って過 ごしたいと思っています。

 
一人の高齢者から始まった「よりあい」の取組み

濱砂 活動で大変なことは何ですか。
下村 当初から資金が足りないのが悩みです。お年寄りの状態や気持ちに沿ったケア にしたいと、法律で定められた以上のスタッ フを置いていますから。ただ 21年間やってこられたのは、バザーや募金などでたくさんの人が応援してくださったからだと思います。
濱砂 これから介護人口が増えたら、世間も国も自分のこととして受け止められるんじゃないですか。私たちも19年かけて子育て問題を一般化してきました!!。
下村
 団塊世代がどう動くかが鍵ですね。 もっと親の介護に興味を持ってほしい。1週間に1日でも1カ月に1日でも親と一緒にいれば、こんな風に人は老いて、動けなくなって死んでいくんだということに付き合って欲 しい。元気なうちに何を準備すべきかがわかってくるのではないでしょうか。


濱砂 地域との接点はありますか。
下村 ある方が家から頻繁にいなくなって、 20 時間ぐらい見つからないこともあったんです。いなくなって15 〜 30 分なら、まだ地域の小中学校区内にいる。その時間内に見つけるにはどうしたらいいかと考えて、地域のありとあらゆる所にポスターを貼りました。 1人で歩いていたらすぐ連絡くださいと。そこから「ご近所応援団」というものができて、今はお年寄りだけでなく、障がい者や子ども、困難を抱えている人のために汗と時間 を使って助け合おうと取組んでいます。
濱砂 素晴らしいですね! 他の地区の参考 になるでしょう! お年寄りの家族に対するケアは?
下村 以前は家族に代わって介護のすべてを引き受けてたんです。でも 12年目くらいから変わりました。家族ができることまで専門職が奪っていたのではないか。最後まで家族がつきあう・身体をさわること、それを支えるのが自分たちの役割だと思うよう になりました。
濱砂 家族も自分で面倒をみたら、 あきらめもつくかもしれませんしね。 核家族とはいえ、孫にも関わらせて欲しい。
下村 あるご家族はよりあいで看取られて、 紅白饅頭を配られました。「母は寿命をまっとうして逝きました。自分はずっと付き添い、介護し尽くして何も思い残すことはない。もうこれ以上幸せなことはありません」と。死んでいくのではなく、最期まで生 ききるということです。自分の力で最期まで生ききり、家族がそれに付き合う。それが本来の姿でありその事を側面から支援するのが我々専門職の役割だと思います。



NPO法人
社会福祉法人 福岡ひかり福祉会 宅老所よりあい
[法人設立]1991年1月
[事業区分]高齢者支援、福祉・介護サービス
■住所 福岡市中央区地行1丁目15ー14
■TEL 092ー761ー4260
■FAX 092ー761ー7441